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一般社団法人ハビリスジャパン


FIT2019の支援先団体であるハビリスジャパンは障害のある子ども達の成長を支え、未来を育む支援をする団体です。理事の藤原清香さん・事務局長の野口智子さんにお話を伺いました。

FIT:先ずは経歴、ハビリスジャパン立ち上げの経緯を教えてください。
藤原:現在は東京大学医学部附属病院のリハビリテーション科で医師をしております。学生時代の怪我で体操競技を断念したあとも、スポーツの意義や体を動かすことが人間の精神面を含め、また社会性を育む上で重要な役割を担っていると感じ、スポーツに関わる医師を目指しました。

10年程前に障害児のキャンプに参加したのですが、楽しそうに生き生きとアクティビティに参加する子供達の姿を見て大変驚きました。それは、リハビリセンターで練習として同じ動作を繰り返している時とは全く違う表情だったからです。子供たちが夢中になって自ら活動し、気がついたらリハビリにもなっている状況に感銘を受けました。

また、カナダに留学した際、カナダのリハビリセンターでは活動的に動く障害のある子供達をサポートする当たり前の社会があり、義肢やサポート体制もしっかりしていました。日本でも楽しく、継続したくなるようなリハビリプログラムの提供や、障害児の社会参加を支援するために、病院外で団体を立ち上げる必要を感じ、ハビリスジャパンを設立しました。

野口:私は東京大学医学部附属病院の作業療法士で義肢を使用している子供たちへリハビリテーションを行っています。病院内だけでは、障害児のサポートが満足に行えないことを感じ、ハビリスジャパンの話に賛同、立ち上げのメンバーになりました。義肢があることで子供たちのできる活動が増え、様々なことに挑戦している姿を見ると、ハビリスジャパンを設立して本当に良かったと感じています。

FIT:ハビリスジャパンの立ち上げ時、または活動内で苦労、または良かった点を聞かせてください。
野口:立ち上げは医師、作業療法士、義肢のエンジニア、義肢装具士、また医療とは全く関係のない業種、業界の方に関わっていただきました。そのため、意見をまとめて団体を作っていくプロセスは、やはり苦労も多かったです。しかし様々なバックグラウンドや強みを持つスタッフが集まって、色々な企画を生み出すことができ、メンバー同士の知識や経験を共有しあえる場となっているのは、本当によかったと思っています。

藤原:苦労している点は、やはりスタッフの本業とハビリスジャパンの両立です。専従スタッフがいないため、プライベートの時間を使ってハビリスジャパンの活動を行っており、特にイベント時の人手不足に課題があると感じています。
病院では医療制度内でのサポートしかできません。しかし、何より良かった点はハビリスジャパンは医療機関ではないので、病院では使用出来ないプログラムや物品を購入してアクティビティに役立てることができます。また病院の枠を超えた医師、作業療法士同士の知識の共有の場、またイベントを通して子供たちやご家族から義肢などについて意見などを伺う貴重な機会をもつこともでき、とても有意義に感じています。

FIT : 寄付金は使われましたか。
藤原:コロナで現在はイベントが全て中止になっており、予定していた義肢部品も購入できていません。この状況下でどのようなプログラムができるのか現在模索しています。今後は、オンラインでの家族会を開催し、少しずつ試験的にプログラムを行いながら、今後のイベントを企画したいと思っています。

FIT: これからの展望についてお聞かせください。
藤原:これからは、サポートできる義肢部品を広げ、支援体制を整えていきたいと思っています。当事者が使いやすい義肢のレパートリーを増やすことで、より多くの子供たちが義肢を快適に使うことができればと思います。また、手足に障害がある子供以外にも、色々な課題をもつ子供たちが運動教室などに参加しているのでインクルーシブで、楽しい場を作れればと思っています。更に今後はハビリスジャパンのノウハウを地方でも共有し、同じようなイベントを開催できるシステムを提供したいと考えています。

一般社団法人ハビリスジャパン
https://www.habilisjapan.com/

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