過去のラン

特定非営利活動法人 荒川クリーンエイド・フォーラム

FIT2019の支援先団体である荒川クリーンエイド・フォーラム(以下、ACF)は河川敷の様々な場所で、様々な人たちがごみを拾いながら、河川ごみや水質、自然回復などの問題を考え、豊かな自然を取り戻そうと活動する団体です。理事・事務局長である今村かずゆきさんにお話を伺いました。


FIT: 今村さんのご経歴、ACFと関わることとなった経緯を教えてください。
今村:愛知県で2010年に50㎞の砂浜を、1日当たり60-100名の参加者とともに10日間かけて清掃する活動に参加し、背後に広がるごみのない砂浜を見て達成感を得ました。
ところが、その翌月2つの台風を経た砂浜には清掃前よりも大量のごみが漂着し、「ごみ問題は拾うだけでは解決しない」と考えるようになりました。漂着(海洋)ごみ問題の解決策は何かないかと調べるうち、ACFを知りました。ACFの活動は荒川という都市河川を拠点としていますが、海浜と同様の課題を抱えており、2016年に参画し、現在に至ります。

FIT: ACFでの活動内で苦労、または良かった点を聞かせてください。
今村:荒川クリーンエイドという清掃活動が発足したのは1994年です。当時から活躍されていたスタッフや役員は50代〜70代で、20代〜30代の若いスタッフとの世代間ギャップに苦労することがあります。自身の提案に対して、なかなか賛同が得られないことも多いのが課題です。
価値があると感じることは、多くの金融機関や先進的なIT企業と協働できる点です。活動の参加者に民間企業が増えており、自団体の活動もNPOというよりは企業での働き方に近い部分があります。

FITFIT寄付金の活用状況はいかがですか。
今村:ボランティアリーダーの育成、雨天時にも清掃現場の様子がわかるヴァーチャル・リアリティ動画制作、子どもの学習用モバイルアプリの製作が軸となっています。コロナ禍で現場に出向くことが難しい状況ですが、ボランティアリーダーの育成およびアプリ製作は順調と言えます。動画制作に関しては遅延が生じていますが、進行中です。

FIT: 今後の展望についてお聞かせください。
今村:IT企業と現場活動を結びつける方法を検討するなど、新たな取り組みを増やそうとしています。株式会社など営利法人でありながら社会貢献に注力しようとしている企業との連携を強め、付加価値を創出したり、今までにない企業とのつながりを作っていったりしたいと考えています。
また、清掃の「現場体験」は重要と認識しています。実際にごみを目にする現場体験を通じて意識変容があり、Refuse「リフューズ」、Reduce「リデュース」、Reuse「リユース」、Recycle「リサイクル」の意義を理解し、団体の活動に賛同くださる参加者も多いためです。

FIT:団体発足時の社会のごみ問題に対する認識は?
今村:26年前の団体発足時には「海洋ごみ」という言葉はほぼ存在せず、当時の建設省が河川の汚染対策を始めたことが河川ごみ問題に対する取組みの発端であったと認識しています。
2015年頃に「海洋ごみ」という言葉が頻繁に使われ始め、美化活動に価値が見直され始めました。環境問題は大きく分けると「ごみ問題」と「生物多様性の損失」に二分されます。このような大きな枠組みのなかで行動を起こさないと自身の生活にも影響が出ることを認識していただきたいと思っています。中でも深海に沈む海洋ごみは回収が困難であるため、街ごみや河川ごみの段階で皆さんに意識をもって回収いただけるといいと考えています。

FIT::レジ袋有料化もあり、ごみに関する世の中の関心の高さに変化はありましたか?
今村:「海洋ごみ」がメディアで取り上げられることも多くなった昨今でも人命ほどの緊急性がなく、当事者意識を持つことが難しいからか、報道の頻度の割には社会的な関心の低さを感じています。
プラスチックの製造業界団体も消費者としてのニーズを受けて事業を行う中、一部の会社のみ活動を止めると不公平が生じてしまいます。レジ袋有料化のように、業界全体に影響する取り組みでないとプラスチック削減は難しいのが実情です。
また、荒川の下流域にはホームレスが約200名住んでおり、適切に捨てられたごみも生活のために抜き取って活用されることがあります。荒天時にそのようなごみが飛散することもあるため、ごみ問題は貧困など様々な要素とも関連しており、多角的な対策が求められます。
プラスチック包装を軽量化とニーズのバランス、店頭回収されたプラごみの輸送コストやCO2の発生、ごみのリサイクルには洗浄用の水など資源を大量に使わざるを得ないなど、なかなか単純にはいきません。
海洋ごみ問題には国境がないため、FITの協賛企業のような多国籍企業を通じ、東京から発信される課題意識がグローバルに拡がることを期待します。

特定非営利活動法人 荒川クリーンエイド・フォーラム
https://cleanaid.jp/

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005