特定非営利活動法人 らいおんはーと
特定非営利活動法人らいおんはーとは江戸川区を拠点に主に子ども食堂やフードパントリーを通した食料支援、放課後の学習支援を実施しています。母子家庭で苦労して子育てをしている母親や複雑な家庭環境で愛情不足になっている子ども達を家族のような愛情で支えて明るい未来を一緒に描ける活動を目指しておられます。今回は理事長の及川さんと副理事長の田所さんにお話を伺いました。
及川理事長
ご自身の経歴と何がきっかけで子ども食堂を始めようと思われたのか教えて下さい。
自分の子どもの中学校でPTA会長を5年間務めて、貧困、虐待、不登校など様々な問題を抱える子ども達を目の当たりにして、子どもだけでなくその両親もサポートを必要としていることに気づきました。何とかしたいと思いPTA会長経験者10名で、その人脈を活用して子ども食堂の活動を開始しました。活動当初、ある小学校の校長先生のおかげで家庭科室を借りて子ども食堂を開催することができました。70人ほど子ども達が来てくれて、ごはんを食べて、体育館でダンスをしたりしてとても楽しい時間を過ごしました。しかし、不定期に開催されるイベントでは子ども達とじっくりと話をして本当に必要なサポートをすることができないと気づきました。不登校、貧困、ネグレクト等様々な苦境にある子ども達が必要な時にいつでも頼れる場所として、子ども食堂を毎日開く必要があると考えて365日子ども食堂を立ち上げようと決意しました。決意してから実現するまでには1年掛かりました。
今の事務所で2018年に活動を開始するにあたり仕事も辞めて7年間毎日休まず活動しています。
夕食風景
子ども食堂立ち上げの時に苦労した点は何ですか?
初めは子ども達が来てくれませんでした。お母さん達は自分の子どもが貧しい家庭の子だと思われていじめられるのではないかと不安に思ったようです。一方子ども達は自分が子ども食堂に行くとお母さんに嫌な思いをさせるかもしれないと、母親を気遣い来られなかったようです。どうしたら良いか悩んでいたところ、子ども達の夏休みの宿題を見てあげるというアイデアを思いつきました。これがきっかけで来てくれる子どもが増えました。お母さん達も宿題を見てもらう塾に通わせているという理由であれば子どもを預けやすかったようです。
放課後学習支援の様子
印象に残っているエピソードは?
ある日9か月の赤ちゃんを抱いたお母さんから電話がありました。お母さんは自殺を考えていたようで、精神状態が相当悪いようでした。事情を聴いたところ、未婚で妊娠して、お腹の子のお父さんとは妊娠が発覚してから関係が悪くなり別れ、両親や友人からは父親のいない子はおろすしかないと言われてサポートは得られなかったそうです。両親と絶縁状態のまま一人で赤ちゃんを産んだけれども、誰とも会わず一人で育児をしていく中、妊娠中から患っていた鬱が酷くなっていき、死に場所を探してさまよっていたところ、偶然らいおんはーとの看板を見つけて最後に頼ってみようと連絡をしてくれたとのことでした。そんな彼女に皆で一緒に子どもを育てようと提案したところ大変喜んでくれました。それ以来定期的に子ども食堂に通ってくれるようになり、出会った頃には無表情だった彼女が1年経った頃にはとても元気になりました。2年目にオンラインの営業の仕事を始めて、その仕事で営業成績1番になり、精神的にも金銭面でも余裕が出てきた3年目に同じような境遇で苦しむ他のお母さん達を助けたいという思いから、らいおんはーとのスタッフとして働くようになりました。現在は団体の広報を担当してくれるスタッフとして活動を支えてくれています。9か月だった赤ちゃんも今では5歳になりました。一人っ子なのですが、子ども食堂に通う子ども達やお母さん達が皆彼の家族なので、兄弟もお母さんも沢山います。どんな子に成長するか本当に楽しみです。
FITからの寄付金はどのように使用されていますか?
頂いた寄付金は24時間営業のシェルター創設のために使わせて頂きたいと思っています。トー横キッズの問題に発展するような子ども達や子ども達が悪い仲間や大人と知り合って非行に走るのを未然に防ぎたい、親との関係が悪く帰る家がない子やDVを受けている母親を救いたいと思ったのがきっかけです。年内に子ども食堂を移転しなければいけない事情があるので、子ども食堂とシェルターを併設出来そうな広い物件を現在、探しています。
この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
困っている人たちのために何かしてあげたいけれど、何をして良いか分からないという方々も沢山いらっしゃると思います。そういう皆さんには是非らいおんはーとに寄付をして頂くか、子ども達に実際に会いに来て頂きたいと思います。最近では三菱UFJ銀行の方々が来てお金の勉強のお話をして下さったり、ラグビーチームのクボタスピアーズの選手が来て子ども達と一緒にごはんを食べて絵本を読んで下さったりしました。将来の夢がない子ども達も多いので、多くの大人と実際にお話して交流することが良い刺激になると思っています。一人でも多くの大人に関わって頂きたいというのが私達の願いです。
江戸川リバークリーンフェスタへの参加写真
特定非営利活動法人 らいおんはーと
https://npo-lh.com/

