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特定非営利活動法人 Being ALIVE japan

FIT2019の支援先団体であるBeing Alive Japanは難病児支援や小児医療現場におけるアスリートやスポーツチームの社会貢献活動を企画提案し、長期療養を必要とする子どもたちに長期に渡りスポーツに関われる支援を行なっています。理事長の北野華子さんにお話を伺いました。


FIT:先ずは北野さんの経歴、団体に関わることになった経緯を教えてください。
北野:親の仕事で3歳からロンドンで生活していましたが、自分が長期的な治療療養が必要となり帰国、そこから入退院を繰り返す治療を受けることになりました。その時に病気のこと、治療のことはネット等で調べること出来ましたが、長く療養を必要とする子どもたちにどういうことが出来るかという情報は全くありませんでした。辛い治療生活、長い入院生活で同世代と同じことができないからと青春を諦めさせたくありませんでした。一人で治療やリハビリを頑張る治療生活ではなく、治療しながら青春を送り、仲間がいる治療生活を実現させたく団体を立ち上げました。

FIT:団体の立ち上げ時で苦労したこと、または良かった点を聞かせてください。
北野:苦労したことは、アスリートやチームスタッフ、ボランティアに対し、病気のあるこどもたちとの関わり方を伝え、関わる上での不安を軽減することでした。病気や障害があることを先に考えてしまい、何に気をつけたら良いか、どの程度やって良いか、何ができるのかがわからないため、最初は動けず、こどもたちとの距離感ができてしまうスタッフやアスリートが多いのです。しかし、病気や障害はその子の一部にすぎないのです。勿論、気をつける点はありますが、どうその子と関わるかは普通の子と同じで、病気・障害は関係ないことなのです。病気を見るのではなく、その子本人を見てもらいたいということを伝え、関わるスタッフやアスリートの不安を軽減し、主体的にこどもたちと関わってもらう活動を作るのに最初は苦労しました。

良かった点は小児医療現場も変わってきており、完治して退院するのではなく、例えば1ヶ月入院治療し、その後退院をして長期間治療を続けたり、またある程度期間をおいてまた入院をと繰り返す治療をするこどもたちが増えました。医療現場でも長期入院による子どもたちの体力維持を課題としており、スポーツを活用するのは体力面のみならず、心理社会面でも良い取組と賛同してくださる医療者が増えました。長期的に治療療養を続ける子どもたちであるため、当団体が提供しているのは一回限りのイベントでの支援ではなく、継続的な支援です。継続的な活動を提供することで、子どもたちも活動に参加することを目標に治療を頑張るなど、医療側からも子どもたちの治療に対するモチベーションが上がったという声を聞きます。それから病院内での会話も今までは主に治療の話だけでしたが、今は当団体のスポーツ活動の話をするなど、医療スタッフと子どもとのコミュニケーションにもつながっていると医療者や家族からフィードバックを頂いています。

コロナでどのような影響がありましたか
北野:現在は病院を訪問することができず、色々な活動が止まってしまいました。病院内でもイベントの中止や面会の制限、また外出の制限が続いていることから、子どもたちの人や社会との接点やコミュニケーションの機会が途絶えてしまっており、子どもたちの治療のモチベーションにも影響しています。そこでコロナにより、限られているヒトや社会との接点をつくることを目的にオンラインで交流することを始めました。取組の一つとして、ラグビー選手たちと一緒に、「ラグッぱ体操」というラグビーの動きや要素を取り入れた体操を、オンラインにて自宅療養の子どもたちに実施し、とても好評でした。今後、選手と一緒に入院中の子どもたちにも提供していけたらと話しており、定期的な活動として実施し、長期療養のこどもたちの身体活動の支援をオンラインでコロナの間、支援ができればと思っています。

FIT : 寄付金は使われましたか。
北野:寄付金は、長期療養中のこどものスポーツ活動の普及や開発に取り組む活動費に活用する予定でした。しかしコロナの状況で使徒目的にしていた活動がすぐに取り組むことができないため、一部使用使途を変更し、オンラインを通じて長期療養の子どもたちの身体活動の開発費用と活動運営費に活用する事としました。具体的には、ラグビーの要素や動きを取り入れた体操で使う、ミニラグビーボールを病院で提供できる安全なものを制作する費用、また梱包・郵送する費用、またオンライン活動に必要なタブレット等の備品・機材購入費に活用していきたいと考えています。同様に他のスポーツでもオンラインでのスポーツプログラムを開発し、その開発費として活用していきたいと考えています。


FIT: 今後の展望をお聞かせください。
北野:コロナでできることが限られていますが、長期療養の子どもがスポーツチームに入団する活動は再開しました。コロナがあっても、病気の子どもには入院生活が中断される訳でもなく、支援は必要です。コロナ渦でできないことを考えるよりも、できることを考えることにしました。オンラインでの活動により東京だけでなく、他地域でも活動を知ってもらうきっかけ、また支援や活動ができるきっかけにもなっています。その他、今までは治療で外出制限があるこどもたちも、ベッドで過ごす子どもたちも他の病室の子どもたちと一緒に交流ができたり、今までになかった社会との接点を持てたりなど、今後はオンラインでアスリートとの交流を通して新しい可能性をつくれる活動を増やしていきたいと思います。


特定非営利活動法人Being Alive Japan
https://www.beingalivejapan.org/index.html

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