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特定非営利活動法人
フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)は「子どもや若者は助けられるだけの存在ではなく、自身が変化を起こす担い手である」という考えを大切にし「国内外の貧困や差別から子どもをFree(自由)にする(ミッション1)」と「「子どもには世界を変えられない」という考えから子どもをFree(自由)にする(ミッション2)」を達成するための支援プログラムや啓発プログラムを実施している。
今回はFTCJの代表理事である中島さんからお話を伺いました。

インドスタディツアーインドスタディツアー

中島さんの経歴と、団体を始めたきっかけを教えてください。

学生の頃に環境問題に関心をもち、調べていくうちに、環境問題の皺寄せは開発途上国、特により弱い立場にある子供たちが影響を受けやすいというのを知って、貧困、南北問題、格差、子どもに関心をもつようになりました。その後、1997年に米国のNGOでインターンをする機会を得たのですが、12歳のカナダ人の少年だったクレイグくんがフリー・ザ・チルドレン(FTC)を立ち上げたことを現地の雑誌の記事で知りました。「子どもに関わることは、子ども自身が関わって解決されるべきだ。」という言葉が書いてあって、そういう発想がなかったのでとても驚きました。私自身、第二次ベビーブーム生まれで、子どもの数が多く、子どもたちの主体性や子どもたちが声を上げることよりも、先生が決めたことをよく守るということが優先された教育を受けました。クレイグくんの「子どもでもおかしいと思ったことはおかしいと言っていこう」という考えは、当時の日本にはなかったし、日本にこそ必要ではないかと思いました。そのため、1999年に帰国後、FTCの活動を日本の子どもたちに伝えるためにFTCJを設立しました。

クレイグくんとFTC初期メンバー

最も困難だったこと、また良かったことは何ですか?

最初はなかなか子どもメンバーを見つけることができませんでしたが、1999年は「子どもの権利条約」が国連で採択されて10周年、日本が批准して5周年という節目の年で、東京で子どもたちが参加する大きなフォーラムが開催されることになり、私も参加しました。既にフィリピンを支援することを決めていたので、そのフォーラムの中のイベントで、フィリピンから子どもを招きました。その子どもは性的虐待を受けた過去があり、外国人観光客に身体を売る仕事をさせられていたのですが、加害者の中には日本人もいました。その子どもはFTCJのパートナー団体が救出し、その後に活動家になった勇気あるサバイバーでした。イベントの中でフィリピンの子どもの発言を聞いた日本の子どもたちが「自分たちもアクションを起こしたい」と立ち上がったことがFTCJ初の子どもメンバー誕生のきっかけでした。

良かったことは、2022年6月に「こども基本法」が成立したことです。FTCJは政府に対する働きかけも行っているのですが、「こども基本法」が必要だという働きかけは、3年前からネットワークを立ち上げて始めていて、子どもたち自身が国会議員に対し「きちんと子どもの権利を子どもたちに教えるようにしてほしい」等の具体的な提言を行うこともありました。

出張授業等のイベントに参加した子どもたちのフィードバックは?

90%以上の子どもたちが「これまで自分たちでは何もできないと考えていたが、自分たちでもできると思えるようになった」と感じてくれました。私たちは「ギフト+イシュー=チェンジ」という方程式を伝えるようにしています。自分の好きなこと・得意なことを見つけて、それを社会問題と組み合わせて、変化を起こそう!という考え方です。どんな変化を起こせるのかを考え、実際にアクションを起こした子どもたちがたくさんいます。

キャンプ集合写真キャンプ集合写真

FIT資金の使途について教えてください。

子どもの権利を子どもたちに分かりやすく伝え、子どものウェルビーイングを実現するため、教材開発を始めています。教材開発には、児童精神科医や臨床心理士等の専門家にも参加頂いているので、専門家の方々への謝金や動画作成の費用等にFIT助成金を使っています。11月が子ども月間なので、その際に教材やワークショップの発表を行い、3月までにワークショップができる人材(ファシリテーター)を育成していきたいと思います。

私たちはFTCJの活動にどのような形で関われるのでしょうか。

イベント運営、翻訳、プロボノ等のボランティアも必要なので、FTCJの活動に関心のある大人も参加してもらえれば嬉しいです。また、12月にはFTCJが協力している別の団体が親子で参加できるチャリティ・イベントとして「東京グレートサンタラン」を開催予定です。サンタランの収益金は国際協力と国内の難病の子どもたちへの支援に使われるのですが、その国際協力の部分をFTCJが担当します。その他にも親子で参加できるイベントとして、10月にハロウィンとフードロスを掛け合わせたイベント「Trash? or Treat?」を世田谷区後援で開催予定です。普通のハロウィンと同じように仮装しますが、お菓子を求めるのではなく、家で眠っている缶詰等の食品を持ち寄り、フードバンクに寄付するイベントです。

今後の展望をお聞かせください。

クレイグくんの「子どもは未来のリーダーというだけではなく、今日のリーダーだ」という言葉があるのですが、子どもだって変化を起こす力があり、子どもは今だって社会の一員なのに、子どもの声がなかなか聞かれません。社会問題に興味があっても「まだ早い」「子どものくせに」と言われがちな現状を変えていく必要がありますが、それをするには子どもだけではできないので、周りの大人たちが、そういう子どもたちの声に気付いてサポートしていくことが求められています。年齢・立場に関係なく、誰しもが変化を起こす担い手となる社会を作っていきたいと思います。また、来年3月に「チェンジメーカー・フェス」を東京ドームシティホールで開催する予定です。社会問題に対しアクションを起こした25歳以下の子どもや若者たちを無料で招待して、これまでのアクションを共有し、成果を祝い、エールを送り合うイベントです。部活動なら大会があるので頑張る目標が明確なのですが、それと同じように社会問題に取り組む子ども・若者たちにとって目標となるイベントにしていきたいです。子ども・若者たちに人気の歌手や俳優など著名人も参加する予定です。

チェンジメーカー・フェス
https://ftcj.org/changemakersfes

代表の中島さん(中央)とFIT2022実行委員の高橋(左)代表の中島さん(中央)とFIT2022実行委員の高橋(左)

特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
https://ftcj.org/

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