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日本ケアラー連盟

FIT2020の支援先団体である​​日本ケアラー連盟は “ケアラー(家族等無償の介護者)”の問題を社会的に解決する ための政策実現を目指し、ケアラー支援ツールの開発や啓発フォーラム・研修を実施している。
代表理事のひとり牧野史子さんにお話を伺いました。


牧野さんの経歴と、団体を始めたきっかけを教えてください。
ケアラー支援は約20年前から行っています。阪神・淡路大震災のときに西宮に住んでおり、被災者ではあったのですが、半年後に仮設住宅の支援を行い、孤立する介護者を目の当たりにしたことがきっかけです。
特に印象に残っているのが、移動サービスに連絡をしてきた70代の女性。その方は、ご主人の介護が終わって 半年後でしたが、家の中を這ってしか移動できないほど、心も体も壊してしまっていました。介護があまりにも介護者のその後の人生に大きな影響を与えてしまうことに衝撃を受けました。

また、当時の支援経験から、現役の介護者にとって、専門職・行政・隣人ではない程よい距離感の人に対して 心を開いていただけることを実感し、1999年に活動を開始しました。
最初は介護者のリフレッシュ講座を、ヘルパー講座と勘違いして参加する人が大勢いたほどの認知度でした。   その後、2001年に東京に介護者の孤立予防のための地域活動を行うNPO法人アラジンを設立し、2010年には支援法制定に向けた活動として、日本ケアラー連盟の設立時にメンバーのひとりとして加わりました。

立ち上げに向けて最も困難なこと、また良かったことは何でしたか?
苦労したことは、日本にはケアラーを支援する法律や枠組みがないため、サービスや施策がなく、常に予算がつかなかったことです。とにかく、法律や枠組みがないと行政は動きません。
日本は家族の世話は家族がやって当たり前、家族の力に依存してきた文化です。法的に、本人は擁護されていても、家族は擁護されていません。

良かったことは、長年の活動の成果で、政策に近づき、ケアラーという言葉も認知されてきたことです。
企業もケアラー支援のノウハウを求めるようになり、コンサルや出版の声がかかるようになりました。

FIT資金使途について教えてください。
おもに条例化を訴える政策パンフレットの作成とフォーラムの開催です。
助成金は使用用途が限られ、報告義務等の細かい縛りがあり、その対応で疲弊してしまうので、本当にありがたいです。

今後の展望をお聞かせください
まずは条例を足掛かりに、法律化を目指したいです。条例化・法律化が叶えば、自治体が変わらざるを得ず、 社会が変わるはずです。ケアラー支援の先進国はイギリスで、2014年にヤングケアラー問題を発端に、介護支援者についても規定する介護法が成立しました。ヤングケアラーを発見するためにソーシャルワーカーを学校に派遣したり、地域活動を通じて仲間と交流できる居場所などを提供しています。ケアラー支援センターが各地に置き、  ケアラーがアセスメントを受ける権利も規定されており、ケアラーのニーズ、健康面や仕事・学業の優先度を    評価し、ときには職の斡旋も行います。また、ケアラーが倒れそうな緊急事態には、要介護者を預けられる仕組みがあり、公的に認められた支援場所が何百か所もあるのです。
オーストラリアでは当事者が発信できる「ケアラー週間」があったり、ドイツなどでは、ケアを社会的労働とみなし、一定の要件を満たすと年金の受給要件とみなされると聞きます。ヤングケアラー問題にしても、学校や地域で子どもたちが生き生きと過ごし、若い力が発揮できる仕組みがあります。
日本では、現場は人材も予算も不足していますが、経験値の高い介護を終えた人を活用し、バトンをつなげたらうまく回るのではと思っています。また、ケアラーにも、地域のわかりやすい場所(駅前など)で、気軽に相談を受けたり、情報のガイドをしてくれる水先案内人が必要だと思います。

私たちとして何ができるでしょうか?
急に介護に直面し、30代・40代の割と早い段階で仕事を辞めてしまう人が多いですが、一度辞めてしまうと  社会復帰はなかなか難しく、その後生活困難になるケースも少なくありません。

少子高齢化が進み、会社の中でも介護が始まる人が多いと思われるので、両親のことや心配事などを共有する場を作ることができると、心が軽くなったり、会社の雰囲気も何でも話題にできるよい方向に向かうと思います。
ケアは、具体的な食事介助や排泄介助等だけではなく、気を遣うところからケアは始まっているので範疇は広く、体も心も蝕まれ、ボロボロになる危険があります。
もしケアラーが周りにいたら、とにかく傾聴し、気持ちに寄り添って話を聞いてほしいです。「今しか親孝行はできない」「もっと大変な人もいる」といった一般論での返しはケアラーの心には届きません。

また、ケアラーの支援情報を提供したり、似たようなケアをしている人同士の出会いの場を作ったりしてほしいです。話ができ、共感してもらえるだけでも随分違います。

介護者支援のNPO法人(アラジンやアップツリー)では、企業への出張の介護セミナーやカフェも実施しています。特に、介護が始まってすぐの初動期の経験を共有できるように介護経験者の動画の紹介や、介護保険、施設等の説明を行っています。もしご興味がある企業様がいらっしゃいましたら、是非ご連絡下さい。

日本ケアラー連盟
https://carersjapan.jimdofree.com/



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